- ・出版社 : 国土社 (2014/7/1)
- ・発売日 : 2014/7/1
- ・言語 : 日本語
- ・大型本 : 79ページ
- ・ISBN-10 : 4337279016
- ・ISBN-13 : 978-4337279018
- ・寸法 : 21.7 x 1.7 x 29.3 cm
蚕の飼育の本は数多くある。昭和初期には日本中で養蚕が行われ,農家の約4割が養蚕を手掛けていたので,かつては蚕を飼う事は大変身近なものであった。その頃の本は数万頭を飼育する養蚕農家のために書かれている。高度成長期以降,養蚕農家は激減し,一般の人が蚕幼虫を見る機会がなくなっていった。蚕幼虫を見る機会は小学校の理科などでの飼育に限られて,小学校では数頭から数十頭の飼育で,多くても数百頭が限度であった。養蚕とは縁の無い小学校の先生が指導しているため,よく研究室に問い合わせがきて,簡単に飼う方法を小学生に指導したり,飼育マニュアルを作って研究室のHPにあげたりしていた。
国土社の編集者Hさんから2013年に問い合わせがきた。Hさんの娘さんが小学校で蚕を育てることになったのだが,飼い方が分からない。図書館等で蚕の飼い方の本を探したけど,養蚕農家向け,専門書しかなく小学校で使える本が無く,私の研究室のHPに辿りついたそうだ。編集者さんなので,小学校で蚕を飼育できる本を作ってしまえばよいと考え,かつ富岡製糸場が世界遺産になる事が決まっていたので,今後蚕が話題になるはずだと考えたそうだ。Hさんと一緒に作り上げたのがこの「大研究カイコ図鑑/国土社」である。Hさんは蚕の事を何も知らなかったが,私と相談しながら,自分でも飼育したり,1年かけて初めて蚕を飼う人でも飼育できる納得の本ができた。残念ながら予算がなく,プロの写真家に多くの画像を撮ってもらうことができなかった。そのため,私がいい加減にデジカメで撮った写真が使われて恥ずかしい限りである。伴野豊先生(現駒ケ根シルクミュージアム館長)が監修された「ぜんぶわかる! カイコ (しぜんのひみつ写真館 5)/ポプラ社」は昆虫写真家の新開孝さんが撮られた写真が満載なので画像に関しては敵いません。
値段が4,180円と少々お高い。出版する際にもう少し安くならないのか尋ねたところ,小学校や図書館で購入してもらうことを念頭に置いていると言われた。そのために外装を丈夫なものにしたためこの値段になってしまったとのこと。確かに小学生が毎年代わる代わる回し読みするなら丈夫な本がよい。結構,売れているらしい。アマゾンの売れ筋ランキング1位になっていたことがある。ちょっと驚いて,よくよく見たら,農学のカテゴリーは「一般」「畜産・獣医学」「作物栽培」「地域農業」「外国農業」「養蚕」の6つあり,「養蚕」の一位であった。しかし,アマゾンのカテゴリーに「養蚕」があるとは思ってもみなかった。
Hさんはこの後東京農工大学の本林隆先生と一緒に2,3年かけて「大研究お米図鑑」を出版されている(2016)。国土社は会社が一時傾いてしまったので,「大研究○〇図鑑」が途絶えてしまったが,2023年に「アリのひみつ大図鑑/佐藤俊幸・島田拓」が出版されている。
(横山 岳)
